スクランブルエッグ

私による私の為の生存記録

スペインの美術館と「ib」

オラ!
ホリデーでスペイン旅行に行ってきた蓮根です。
旅先で美術館を巡るうちにフリーゲーム「ib」を深く考える機会に恵まれましたのでブログに記録として残そうかと思います。

記事ではバルセロナにあるピカソ美術館とマドリードにあるソフィア王妃美術センターの2つを取り上げてibの世界についてお話しします。
ゲームibの公式サイトへは下記の埋め込みリンクからどうぞ。

kouri.kuchinawa.com

 

まずはバルセロナ旧市街地にあるピカソ美術館とそこに展示されているパブロ・ピカソの作品からゲルテナの考察をしてゆこうと思います。
ibはワイズ・ゲルテナという美術家が作品のみが飾ってある、ゲルテナ美術館が舞台の作品です。
このゲルテナというキャクターについてですが、以前からピカソがモチーフなのではないかとファンの間では有名でした。
というのもキャラクター設定の
・奇抜な作品の数々
・生涯通じて多作
という点がピカソと共通しており、更に「ゲルテナ」という名前もピカソゲルニカという作品から取ったのではないかとまことしやかに囁かれていました。(※『ゲルニカ』はソフィア王妃美術センターに展示されています)
確かにゲルテナの作品の奇抜さはピカソ筆頭のの立体主義、同年代の超現実主義から取っていると思わしき所が多々ありますが私は以前からピカソがモチーフと考えると何となく違和感があると感じていました。

違和感については後することにして、まずはピカソとの共通点から見ていきましょう。
確かに、いくつかのゲルテナ作品のオリジナルはピカソの作品から来ているのでしょう。
また作品だけでなくep4のマップ、スケッチブックのイメージもピカソの作品に似たものがありました。
私がピカソ美術館で最初に見つけたのはスケッチブックとの類似点でした。その作品はマップとは対照的に白のキャンバスに赤の染料で描かれいてるものでしたが絵の全体の形がマップと似ていて凄く驚いたのは鮮やかに思い出せます。
これに感銘を他にも受けて探したところゲームを想起させる作品を幾つか見つけました。
・ワイングラスの絵→飲み干す夜
・ピアノの絵→悪意なき地獄
・女官達(リアリズム寄りの物からキュビズムまで)→メアリー及び○○の服の女達の絵
※初期のころの女官は主にソフィア王妃美術センターの展示物ですがこちらの項で説明させていただきます
・花瓶の絵→回復アイテムの花瓶
ピアノの絵は完全に悪意なき地獄です。ワイングラスの絵は平面ですが、グラスの形と中におおよそ食べ物(抽象的なため)とは認識できない物が入っている絵なのでこれを立体化させて夜のイメージを付加するのは(他に夜をイメージした絵があるため)十分に可能かと思われます。
また最大の問題である女官達の絵についてですがibにはメアリー以外にも女性の絵(追いかけてくるものを含める)が沢山あって、それらすべてが女官という一つのモチーフから来てたりするのかなぁとは思いました。
正面から描かれたウェーブヘアの女官のキュピズム絵はメアリーかもしれませんね。

イブの中で最も重要な作品である『絵空事の世界』ですが、これはゲルニカから来ているのではないかもっぱらの噂です。
何故ならゲルニカの絵の様々な物がごちゃごちゃと描かれている(ように見える)感じとキャンバスの大きさが似通っているからです。
絵空事の世界』は絵が2パターンありますが現実世界の絵の方がゲルニカには近いかもしれません。
ところでゲルニカって不思議な魅力がありますよね。大きいキャンバスにキュピズム絵が描かれると確かに中に入ってみたくなる、この内側には迷路が隠れているのかもしれないと思うのはキュピズムですよね。あと同美術館に飾ってある世界という絵も。
パブロ・ピカソの絵の中で絵空事の世界の世界に最も近い物はゲルニカだと思います。ゲルニカに描かれているのは日常風景ですが、あれは同時に現代批判絵でもあるので夢と現実の両方がある絵空事の世界と何となく似てますね。
絵空事の世界』は本来ゲルテナ美術館には存在しない絵です。ソフィア王妃美術センターにはゲルニカ(と初期のピカソの絵)だけがあり、他の作品は主にピカソ美術館にありまるで逆の状況になっている様ですよね。
また深海と心壊は掛け言葉だと思っているので、深海の世の魚がゲルニカの一部に重なって見えて仕方ないです。人が入れない世界と絵空事と言うのも本質的に同じこと言っている気がします。
という事を考えながらゲルニカを見てきたので凄く楽しかったです。

 

ところでゲルテナ作品って彫刻から絵というメジャーなアートから、無個性の様な前衛的なアートも沢山ありますよね。ただそれらにはホラーテイスト、奇抜という共通点(一部全く関係なさそうな作品もありますが)がある。
ピカソと言い切るには違和感があると前述しましたが、これが原因です。
簡単にいうとこれらのモチーフが1人の画家から来ているとするとバリエーションが多すぎるんです。
そこは作者の能力の賜物なんじゃないの?と思われるでしょうが私は違うんじゃないかとソフィア王妃美術センターに立ち寄って思いました。
ソフィア王妃美術センターはやっぱりゲルニカがもっともの有名で、次にピカソ・ミロの初期・彫刻だと思います。
有名な作品が限られているのでプラド美術館とは違ってある程度撮影も可能です。ということでこちらをどうぞ。

 

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この美術館には前衛的な作品、写真が凄く多いです。
何処かで見たことのある人の顔を模した作品や、宇宙をモチーフにした作品ですが他にも手の形を模した作品や動画なんかもいくつか見る事が出来ます。(こじつけるとこの発想が動く絵本でしょうか、動画他の美術館より多くありテイストも違うので)
余談ですが宗教画や写実画が好きな方はプラド美術館に足を向けることをお勧めします。
彫刻のモチーフはジョアン・ミロでしょう。
ゲルテナには形が中途半端というか抽象的な作品も多いですが、ピカソではなくミロの彫刻に近い物が多い印象です。
またそれとは別にしっかりとした原色を使った作品があるのもミロと似ています。

ここまで来れば私の言いたい事に気付いた方も多そうですが、ibのゲルテナ作品及び深海はピカソの絵とソフィア王妃美術センターをモチーフにしているんじゃないかと思います。
何故ならソフィア王妃美術センターの作品の雰囲気が凄くibぽかったからです。(何度も迷ったぞ)
そもそもゲルテナは抽象画家でありキュピズム絵は描いていないようです。ですがキュピズムが流行していた年代の画家ではあります(※作品の製造年は何故か6000年代ということになっていますが)ので、イメージ時代はこの年代から取っているはずです。
そして、先に申し上げた通り立体作品についてはミロとシュルレアリスム(時計の作品があるのでダリの作品もモチーフの可能性大。因みに彼はギミックのある作品を多く残しています。)から取っていると思われます。
ピカソ美術館はピカソという風変わりな人物の作品を貯蔵しているだけであくまで普通の美術館ですがゲルテナの美術館(深海)は誰が見ても分かる様に普通の美術館ではありません。
何故なら作品が追いかけてきますし家具などの通常の美術館には展示されないような作品も収蔵されているからです。
ソフィア王妃美術センターはそのように通常の美術展には置かれない作品が沢山展示されています。例えば刺繍、ランプやワイヤーアートといったものです。
さすがにそこまでibと同じとはいきませんが、独特で、階層によって異なる雰囲気は凄く体感的に似ていました。
もちろんibには完全にオリジナルの作品や、最大の魅力である素晴らしいギミックを付加した作品も多く存在しています。
ですがこのように類似点を探していくのは凄く楽しかったです。
どちらも元々は行くつもりが無かった美術館なので行き当たりばったりって最高!!という気分で一杯です。

ibがお好きな方、バルセロナを訪れた際には是非ピカソ美術館にお立ち寄りください。きっと忘れらない思い出ができますよ。